病気や疾患に関する葉酸の効果

病気の治療をするために用いるものといえば、やはり薬が挙げられます。薬には医師の処方が必要な「処方薬」と、ドラッグストアなどで手軽に購入することができる「市販薬」があります。

どちらも薬ではありますが、処方薬のほうが効果覿面であることは言うまでもありません。なぜなら、医師がその人のことを診察し、その人にもっともふさわしい薬を出すからです。

素人の独断で薬を選択しているわけではないので、それは当然だといえるでしょう。そんな処方薬として「葉酸」を出されることもあります。それは主に2通りです。

  1. 葉酸欠乏症の治療、改善のため
  2. 特定の薬による副作用を軽減するため

この2つのパターンについて、くわしく見ていきましょう。

葉酸欠乏症(悪性貧血)などの改善

薬としての葉酸が処方されるパターンとしてもっとも多いのは、葉酸欠乏症の治療が行われる際です。

葉酸にはビタミンB12とともに赤血球を作る造血作用があるため、葉酸が欠乏すると「貧血症状」が現れるようになります。貧血症状が出て、すぐに葉酸欠乏症を疑う人はほとんどいないでしょう。

まずは鉄欠乏性貧血を疑うことと思います。貧血症状に加え、味覚障害や口内炎ができやすくなるなどの自覚症状が出たときは、葉酸が足りていない可能性が高いです。

医療機関で血液検査をすることで、葉酸欠乏症はすぐにわかりますよ。ここで葉酸欠乏症と診断されると、その治療のために葉酸薬が処方されることになるでしょう。

葉酸薬には、「フォリアミン」や「パンビタン」などがあります。葉酸を補充するタイミングや量は医師の指示によりますが、1日あたり1~4回の服用であることが一般的です。葉酸欠乏症の改善のための葉酸薬は、飲み薬として処方されることが多いでしょう。

処方された薬をしっかりと服用して葉酸を体内に補充していけば、葉酸欠乏症は改善します。

しかし、これは根本的な改善とはいえません。なぜなら、一般的な葉酸欠乏症は生活習慣の乱れが大きく関わっているからです。

野菜を食べない、タバコを吸う、アルコールを毎日大量に飲んでいる、などはありませんか?これらの行いは、どれも葉酸の吸収率を低下させる要因として考えられています。

薬から葉酸を補充することももちろん大切ですが、しっかりと葉酸欠乏症を治すためには生活習慣の改善が欠かせないのです。

抗がん剤の副作用軽減のため

先ほどお話しした「葉酸欠乏症」に関するものは、個人の意識によって防ぐことも可能です。しかし、これからお話しする「抗がん剤の副作用軽減」のために葉酸を補充する場合は違います。

この場合は、葉酸を補充するタイミングなどもすべて決まっているのです。メトトレキサートという葉酸代謝拮抗薬があります。これは、葉酸の「DNAを合成する」という反応経路を阻害することで、ガン細胞の増殖を抑制するというもの。

ガン細胞であってもDNAがなければどうすることもできませんから、この反応経路を遮断してしまうというのはかなり効果が期待できるものだと言えるでしょう。

しかし、このような薬はガン細胞だけに作用するのではなく、正常な細胞の増殖も抑制してしまいます。そのため、抗がん剤を飲むと副作用として「葉酸欠乏症」のかなりきついものが現れてしまうのです。

また、メトトレキサートはリウマチの治療にも用いられることがあります。リウマチ治療の際の葉酸補充についてお話ししましょう。

メトトレキサートを最終投与したときから、24時間~48時間後に葉酸を投与することになります。目的はもちろん、葉酸拮抗薬に対する副作用を軽減するためです。

ではなぜ、メトトレキサートと葉酸薬を同じタイミングで飲まないのでしょうか。それは、血液内にメトトレキサートがある状態で葉酸を飲んでしまうと、本来の治療効果が弱まってしまう恐れがあるのです。

リウマチ治療のためにメトトレキサートを飲むのに、その効果が得られないのでは意味なありませんよね。そのため、葉酸を補充する時間はしっかりと医師の指示に従ってくださいね。

メトトレキサートよりも強力な抗がん剤に、アリムタという薬があります。メトトレキサートは葉酸の反応経路を1つ岳遮断する薬ですが、アリムタは複数の反応経路を遮断することができます。

抗がん剤としての効果はとても強い反面、それは副作用が強く出るということ。そのため、アリムタを投与するときは、葉酸とビタミンB12の補充が必須となっているんですよ。

補充時間も、もちろん決まっています。まず、アリムタの投与が決まったら、実際にアリムタを投与する7日前には葉酸とビタミンB12を補充します。

その後アリムタの投与が始まったら、葉酸は1日1回、ビタミンB12は9週ごとに補充していくことになります。アリムタには重篤な副作用がありますが、葉酸とビタミンB12を補充することで、かなり軽減することができるでしょう。

このように、抗がん剤の副作用軽減のために葉酸が使われるときは、補充時間などもしっかりと決められているのです。

葉酸の病気・疾患まとめ

葉酸を補充するのは

  • 葉酸欠乏症の改善
  • 抗がん剤の副作用軽減

の2つの目的のいずれかになります。重要なのは、やはり特定の薬による副作用を軽減するという目的のために葉酸を補充することでしょう。

葉酸欠乏は骨髄障害などを引き起こすこともあるので、しっかりと補充していかなければなりません。