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葉酸とメトトレキサートの構造について

葉酸とメトトレキサートの構造について

葉酸の働きを阻害する薬のひとつが、メトトレキサートです。

メトトレキサートという薬を聞いたことがあるでしょうか。

ここでは、葉酸とメトトレキサートについて、働きや構造をくわしくご紹介したいと思います。

メトトレキサートとは

メトトレキサートは、葉酸代謝拮抗機序を持つ免疫抑制剤です。

ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することができます。

メトトレキサートは劇薬に分類され、扱いには注意が必要です。

抗悪性腫瘍薬(抗ガン剤)、抗リウマチ薬、妊娠中絶薬などとして使われています。

メトトレキサートはDNAを作る過程で不可欠なジヒドロ葉酸還元酵素の働きを阻害します。

葉酸にはDNAを作る働きがあるのですが、細胞分裂や細胞を再生させるためにはDNAが欠かせません。

DNAというのは遺伝情報を保存しておくもので、これがないと細胞分裂をすることはできません。

私たちの体でいうなら脳のような存在で、細胞の司令塔となるものです。

DNAのない細胞は死滅するしかなく、増えることはできないのです。

私たちの体は多くの細胞から成り立っており、細胞なくして生きることは不可能です。

「DNAの合成を阻止することで細胞の増殖を防ぐ」

この働きにより、ガン細胞の増殖を防ぐため悪性腫瘍の治療に用いられています。

ガンは日本人の死因としてはもっとも多く、からだの至るところで発生、増殖、そして転移していきます。

私たちの体をむしばんでいく、恐ろしいものです。

ガン細胞は絶えず細胞分裂を繰り返すことで増殖していくので、メトトレキサートを使うことでDNAの合成を阻止することができれば、それは必然的にガン細胞の増殖を防ぐことに繋がります。

メトトレキサートの働きと役割

先ほどもお話ししたように、葉酸はDNAを作る働きがあります。

ジヒドロ葉酸還元酵素が葉酸を取り込むことでDNAを作っていくわけですが、メトトレキサートは葉酸の働きを阻害します。

簡単にいうなら、ジヒドロ葉酸還元酵素に「葉酸ではなくメトトレキサートを取り込ませる」ことでDNAの合成を阻止しているのです。

葉酸とメトトレキサートを間違えて取り込んでしまうわけですから、つまり「葉酸とメトトレキサートは似ている」ということでもあります。

化学構造を見てみますと、確かに葉酸とメトトレキサートは似ています。

一部が違うことを除いて、構造も大きさもほぼ同じなのです。

この「似ている」ことを利用してガン細胞の増殖を防ぐことが、メトトレキサートの役割です。

メトトレキサートの副作用

メトトレキサートには、当然副作用があります。

ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害という働きをガン細胞のみに行えればいいのですが、現実的に見てそれは不可能です。

正常な細胞のDNA合成も阻害して細胞分裂を行えないようにしてしまいます。

そのため、

  • 間質性肺炎
  • 肝障害
  • 口内炎や消化管の出血

など多くの副作用の可能性があります。

これはメトトレキサートが葉酸の働きを阻害することによるものです。

この中でも間質性肺炎などの場合は、葉酸では予防ができないとされています。

メトトレキサートの副作用は葉酸の働きを阻害するために起こるものなので、基本的にメトトレキサートを服用している以上は防ぎようのないものばかりです。

抗ガン剤には様々な重い副作用があるものですが、メトトレキサートも例外ではないということですね。

抗ガン剤としてメトトレキサートを使っている場合は副作用を防ぎようがない部分もありますが、抗リウマチ薬としてメトトレキサートを使用する場合は、話は少し変わります。

リウマチの治療にメトトレキサートを用いる場合、メトトレキサートの服用は毎日ではありません。

そのため、措置としてメトトレキサートを服用した48時間後を目安に「フォリアミン」という葉酸薬を服用することが一般的です。

フォリアミンは葉酸欠乏症の人に処方される薬で、1錠に5mgもの葉酸を含んでいます。

私たちが1日に摂るべき葉酸量は0.24mg(240μg)で、多く摂るべきと言われている妊婦ですら0.68mg(680μg)です。

この数字を見ても分かるように、フォリアミンの葉酸量はものすごく多いということが分かりますね。

健康な人がこの量の葉酸を摂取したら、間違いなく過剰摂取になる量です。

メトトレキサートまとめ

葉酸とメトトレキサートの関係についてお話ししてきました。

この2つの関係についてまとめると、このようになります。

  • 葉酸とメトトレキサートは構造が似ている
  • メトトレキサートはジヒドロ葉酸還元酵素の働きを阻害する
  • メトトレキサートの副作用は、葉酸欠乏によるものである

以上になります。

メトトレキサートは劇薬に分類される薬なので、もちろん妊婦への処方は禁忌とされています。

万が一リウマチ治療のためにメトトレキサートを服用していて妊娠を希望しているという人は、きちんとそのことを医師に相談しましょう。

メトトレキサートを飲んでいる間はもちろん、メトトレキサートの服用をやめてから3ヶ月は妊娠してはいけません。

メトトレキサートはDNAの合成を阻害するわけですから、赤ちゃんの細胞分裂が行われずに赤ちゃんが神経閉鎖障害などの先天性障害を患う危険性が高まってしまいます。

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